串亭 渋谷ストリーム

(串揚げ/東京・渋谷)

Kushiage Restaurant/Shibuya,Tokyo

オープン:2018年12月25日
床面積:80㎡ 客席数:37席




Bamboo Award 2019 winning

光と影を駆使したカウンターと、
心和む縁側で作る居心地の良さ

テーマは「陰翳礼讃」。影の中に光を浮かび上がらせることで奥行き感を演出し、店舗がより印象的に、そして広く見える効果を狙っている。

入り口にかかる暖簾は、高級感を表す藍色を選択。『串亭』のロゴは丸でぐるりと囲って変化させ、より印象に残るものへ。その横の透け感ある格子戸からは、カウンター奥に光る緑青のタイルをのぞかせ、串揚げを揚げる様子がどこからも美しく見えるよう設計した。ハケで手塗りしたような自然な色むらが特徴の洋風タイルは、あえてグリット組みではなく、タイルを半分ずつずらす和の技法で組むことで目に留まる違和感を演出。

またカウンター右手奥に設置された、カジュアルな“小上がり”スペースが本物件のひとつのポイント。小上がりの周縁部分を地面から浮かせ、盆栽を置き、どこか懐かしい縁側を再現。満席の際はお客様が縁側に腰掛け、ドリンクを飲んで待つような心和む情景を渋谷の地に作りたいと思った。

| 寛ぎの小上がり空間


渋谷ストリームの変形した店舗区画をそのまま活かした小上がりの形。店舗をデザインする際は、まず区画を最大限に効果的に使う方法を考える。巡らされた引き戸は気温に合わせて開け閉めできる。

| 緑青タイルの輝くカウンター


カウンター上部の飾り棚は、節目の浮かぶナラ材を選択。母親である陶芸家、陶工房『箸荷窯』増田節子氏の壺と盆栽を置いた。ラフで手触り感のある素材を配置することで空間に親しみやすさが生まれる。

| 藍の暖簾がはためく入り口


入り口に置かれた大きな壺はアートフラワーをあしらって。基本は和だけれど洋のエッセンスを加え、どこにもない世界へと誘う。フラワーアーティストの『emi flower』赤井隆祐氏の作品。