遠野醸造TAPROOM

(ブルワリー/岩手・遠野)

Brewery/Tono,Iwate

オープン:2018年4月25日
床面積:43.85㎡ 客席数:29席

遠野をホップの里から、ビールの里へ。

その願いから、クラウドファンディングにより作られたブルワリーは、 “地産地消”をコンセプトに設計。

花巻市の「小友木材店」から、全て岩手県産の木材を調達し、運輸コストを下げ、地元林業を活かす。目指したのは、環境に優しいアップサイクルなデザインだ。

「地域の方々と過程から共有して、愛される場所にしたい」、「できるだけ自分たちの手で作りたい」という依頼主からの要望を受ける形で考案したアイデアは、“地元住民によるスツール作り”。

組み立て式の4つのパーツを設計して、木材をカット。SNSで集まった15人程に講習し、ワークショップ形式で完成させた。また壁の塗装は、依頼主自らDIY。結果、クラフト感ある空間に仕上がった。

また「元酒屋の建物を、最大限に活かしたい」というオーダーを受け、床はあえて経年変化の味わいを生かして、そのまま使用。ライトも残し、天井は板のみ剥がした姿で。 壁やカウンターには、特徴あるヘリンボーン貼りを施し、馴染みある木材にちょっとしたスパイスを効かせた。



| キーカラーはホップの緑


心落ち着くカウンターは、オーナーと共に、営業後の動線を考え抜いたもの。またアクセントのグリーンの壁は、ホップの緑をイメージ。『ホップ収穫祭』を主催する「ブルーイング遠野」のコーポレートカラーとも統一させた。

| アンティークな照明


天井板を剥がしたら、味わいのある木と鉄が現れたため、設計を途中変更して、梁を活かした。元のお店「佐藤酒店」から受け継いだライトは、位置のみ変更。当時の顧客からも、懐かしいと喜ばれているそう。

| DIYで完成したスツール


スツールの裏には、ワークショップに参加した、作り手のサインが書かれている。中には、“人はパンのみに生きるにあらず。人生にはビールが必要である”、なんて遊び心あるメッセージも。携わった人たちの愛着が感じられる。

| 使い勝手の良いカウンター


代表取締役の袴田大輔氏。「まめに足を運び、動線設計からスツールのアイデア提案、工務店との交渉まで親身に行ってくれて、すごく助かりました」「いつかゲストハウスをやる時は、また増田さんにお願いしたいですね」と語ってくれた。

| 街に溶け込む外観


遠野で浮きすぎず、でも少しだけ違和感のある、気になる存在。その程度感を一番意識したという店舗は、夕暮れの地元の風景に溶け込んでいる。若者だけではなく、おじいちゃんや、ファミリー客など幅広い層が集まり、日々賑わう。